「ダブスタ(ダブルスタンダード)」は、言っていることとやっていることが違ったり、人によって基準を使い分けたりする態度のことだ。問題なのは、それが単なる矛盾ではなく、「相手をコントロールするため」に意図的に使われることがある点である。たとえば、「自分がやるのは仕方ないけど、君がやるのは許さない」といった調子でルールをねじ曲げ、他人を従わせようとする人がいる。こうした相手に振り回されないためには、理屈よりもまず「態度」と「距離感」の整え方が重要になる。
Step1:まずは「矛盾」に気づくこと
ダブスタを使う人は、必ずしも自分が矛盾しているとは思っていない。むしろ正しいと思い込んでいる場合さえある。だからこそ、こちら側がその矛盾を冷静に見抜く力が必要だ。「前と言ってること違わない?」「自分には厳しいのに、あの人には甘くない?」と、頭の中で静かに記録していく。可能であれば、やり取りをメモやスクショで残しておくと、後で冷静に振り返る材料になるし、言った言わないの水掛け論を防ぐ助けにもなる。
Step2:感情を整える
理不尽な扱いを受けると、つい怒りやモヤモヤが湧いてきて、それが態度や声に出てしまう。でも、相手はその感情の揺れを利用してくることがある。だから、まずは自分の感情にラベルを貼るようなイメージで、「ああ、いま自分は悔しいんだな」「怒っているんだな」と認識することが大切。深呼吸をしたり、少し席を外して頭を冷やしたりすることで、落ち着きを取り戻せることが多い。
Step3:ルールを明確にする
ダブスタの温床は「あいまいさ」だ。言葉の約束がその場その場で変わるからこそ、相手は都合よく立ち回れる。だから、こちらとしては「何がOKで、何がNGか」というルールをできるだけ明確に、できれば書面や記録の形で共有しておくのが有効だ。職場であれば業務の分担や責任範囲を文書化する。プライベートでも、例えば「○時以降は連絡しないでほしい」など、こちらの希望をはっきり伝えることが大事だ。
Step4:線を引く、そして守る
相手がそのルールを守らなかったときに、どこまで関わるかは自分で決めていい。無理に説得しようとせず、「これ以上は応じられません」ときっぱり伝えることで、相手の“自由自在なルール変更”に巻き込まれないようにする。「そのやり方には付き合えません」と言えることは、逃げではなく、むしろ自分の尊厳を守る行為である。ここで重要なのは、感情的にならずに事務的に伝えること。「あなたが嫌いだから」ではなく、「その態度とは距離をとります」という姿勢がポイントだ。
Step5:それでも変わらないなら、距離をとる
相手がどんなにこちらの提案を無視し、同じようにダブスタを繰り返すなら、最終手段は「離れる」ことである。これは敗北でも諦めでもない。人には相性があり、すべての人間関係を修復する義務はない。むしろ、健全な距離をとることで、自分の心身を守るほうがずっと大切だ。関係を薄くしたり、物理的・時間的な接点を減らしたりすることも立派な選択肢の一つである。
おわりに
ダブスタを使う人に一貫性や公平さを期待しても、たいてい裏切られる。だからこそ、自分の側が冷静さと軸を持って対処することが大切だ。感情に飲まれず、事実を記録し、ルールを明確にし、必要ならば線を引く。そして、最終的には「その人とどこまで関わるか」を自分で決めていい。相手を変えるより、こちらが自分を守るほうがずっと確実で、健やかである。